公共建築百選とは

鳴門市文化会館を参考に

風光明媚となる風景は日本の各地で眺めることが出来ます、人によって違いはあれど大抵の人が推奨する景色の良さはそれほど違いはありません。環境破壊が進行しているとはいっても、日本で拝める自然の有り様に見とれているのは日本人だけではなく、世界中の人々からしても歓喜を呼び起こすものとなっている。喜ばしいことだろう、かつては都市開発をすることで日本という国を経済大国におし上げるがため無闇に建物を建造していったがために景観を犯していってしまい、それらの狂気が最終的に当時の人々へと反映されていった事実は否定出来ない。公害などの被害を受けた方々については同情などの感情は湧き上がりますが、結果的に言えば開発を推し続けた私達人間の自業自得とも言えるでしょう。

混沌とした無計画な建築をしないよう、日本にも景観維持区域となる地域を設けていますが東京都内を中心とした全国各地では依然として都市開発は現在進行形で行われている。この事実をどう受け止めるかでまた変わってきますが、それでもかつてのように無駄のない工事になるよう技術的には進化している、そう思っていよう。筆者はそこまで建築業界に通じているわけではありませんが、ただ人間が創りだした人工的な建物の中には素直に凄いと、そう感嘆する瞬間があります。歴史的情緒あふれるお寺や神社などもそうですが、結局老朽化が進めば現代の技術によって改修を行わなくてはなりません。純粋な意味で当時のまま残されている建物というのは、実質全国でも数は多くないでしょう。

建築技術は時代と共に進化しています、現代で言えばモダン風と言えば何となく想像できるだろう。具体的にとまでは言わなくても、過去建造されたものと比較すれば現代に近い時代で作られた建物の特徴、比べるまでもないほどだ。歴史的にはまだまだ浅いと言われてもしょうがないかもしれませんが、綺麗な点で上げればそれだけで満足できる人もいるでしょう。優美なもの、それらは明治・大正・昭和・そして現代と流れていって、その時代に見合った建築物によって外観や内観もまるで違います。今回は現代、その中でも特に褒め称えられている建物である『公共建築百選』というものについて話をしていきます。これらをよく知るために徳島県は鳴門市にある『鳴門市文化会館』をモデルにして考えてみましょう。

地域社会に貢献した建築物として

鳴門市文化会館は公共建築百選へと登録されています、これは国土交通省が設立50週年を記念して1998年に創設された物となっており、公共建築の中で地域社会へと貢献していると称された建物の事を指しています。そうでなくても日本では何かと『百選』と呼ばれるものはたくさんあるわけですが、公共建築百選についてもその1つとなっています。その1つに登録されている鳴門市文化会館についてですが、こちらは鳴門市が市制35週年を祝して建築されたものとなっている。建築されたのは1982年となっており、建築物として優れていると評価されたことで1998年に登録が決まった。百選自体もこの98年に創設されたものとなっているので、創設前から選考対象となっていたのは間違いないでしょう。

さてこちらの建物についてですが、目の前に流れる小川が眺められるところに建築されているため周囲の環境については非常に良いといえる。地元の人達にすればそこまで圧迫された建物の雰囲気ではないのも登録された経緯となるでしょう。景観についてはうるさい人は特にうるさい、それこそ異物感を全開にしたと烙印を押されるものなら地元住民から断固として敵視されています。建築についてはどうしてもこの問題がついて回ります。この文化会館についていうなら、周囲にそれとなく存在している民家がないことも挙げられる。周辺住民からの反発などが強ければ登録されることへの不満が爆発していた、なんてことも考えられるからだ。

自分が住んでいる街でも公共建築とはいかない、なにかしらのビルやらマンションやらが建築されることに対して反対運動を起こしているさまを見たことはないだろうか。筆者の地元にも一時期そうした機運が強かった時があった。詳しい背景事情については省くが、昔からその場所で暮らしている人々にすれば新しい建築物というのはやはり異物でしかない。今まで広がっていた景色の中にある異色ある建造物、それを認めることは出来ないと断固反対する意見についても分からなくもないですが、経済効果などを考えればそうした意見は瑣末なものなのかもしれません。

だが冷静になって考えて見れば分かると思うが、昭和中期の建築ラッシュと現代の建築については全く基準が違っている。それこそもしも公害といった大規模な社会問題が発生しなければいまだ、あらゆる場所で都市開発は尋常ではないペースで進行していたかもしれない。既に問題として湧き上がったため、30年以上前と比べれば無秩序な建造は認められなくなってきている。

民間の建物でもこうなのだから、当然公共建築ともなれば反発は強い。何しろ建築費用は大元を辿れば税金から支払われているのだから、無意味な建物を造れば当然反発が生まれてしまう。そういう意味では鳴門市文化会館についてはそういう心配は特別大きくなかった、そう考えていいだろう。

他にはこんな建築物も

公共建築百選と呼ばれる建造物については色々事例なども存在していますが、ただこの建物を見ても本当に凄いのかという実感が沸かない人もいるかもしれません。その点については認める以外他ありません、それこそ地元で生まれた人たちにすれば建築物として優れている、なんて言われても想像はつかないだろう。公共建築百選に選ばれている建築物は全国各地に存在していますが、東京都内でもそれはあります。幾つか例としてあげると、

  • 最高裁判所
  • 東京都庁舎
  • 世田谷区立世田谷美術館

といったものがある。後半2つについてはイマイチパッとしないという人もいるだろう、地元の人でもない限り中々訪れる機会もそうないはず。ただ最高裁判所と言われれば誰でも想像はつくはず。小学校ないし中学校にて社会見学の一貫として訪れるところもいまだある、と信じて話をしていくが訪れた時はやはりその様式は見事なものだった。その当時、まだ建築などというものに対して知識を持っているわけでもない子供でしか無かったが、綺麗というだけでは語れない建物から感じられる雰囲気は周囲に広がるビルなどとは比べ物にならないことだけは分かった。

鳴門市文化会館もそんな最高裁判所と同様に優れた建物として言われているのだが、地元住民にすればそこまで凄いことだったのかと驚く人もいるかもしれません。それくらいこの公共建築百選と言われるものに登録されれば泊が付くことを意味しているのです。

時代の象徴でもある

公共建築百選と呼ばれる建物はどんなに古くても1950年中盤以降に建造されたものが対象となっている、それこそ新しいものは今から20年程前と建物としてみればまだまだこれからというものも中心になっている。乱立され始める前から景観を破壊せず、地域社会に溶け込んでいるそれらの建物はいわば時代を象徴する鑑とも取れる。それだけ人が振るう技術が進歩していることを意味していると考えれば、興味深く研究してみたいと思うのも人の性ではないだろうか。次からはそんな公共建築百選として個人的に興味を惹かれたもの、その中でも鳴門市文化会館と同年代に建築された建物をピックアップして話をしていこう。