コンサート会場として良質

音響家にとっては憧れの場所

誰にとっても憧憬は抱いているものだが、その中には建物に関しても例外ではない。例えば歌手、アーティストとして活動している人にとって日本国内のコンサートホールの中で一度は活躍の場として選んでみたい場所に挙げられる日本武道館、といったようなものだろう。あくまで筆者個人のイメージなので必ずしも、というわけではないが憧れの舞台でいつか演じてみたいと思っているパフォーマーはいるだろう。ただこうした芸術活動をしている人たちの中には当然裏方で携わる人もいる。表舞台に立つ人と裏方で演出する人では舞台に対しての求め方は違っている。取り分け音響家という立場の人から見た場合、どのような舞台を最良と思うのか気になる人もいるはず。

百選は何も無機物だけをテーマにしてはいない、音響家という職業に付いている人々にアンケートを取り、彼らの意見を参考にして取り決められた『音響家が選ぶ優良ホール100選』と呼ばれるものがある。関心が持てる人もいるのではないか、何せ裏方の人間が選ぶとなればその基準は非常にシビアなものになる事は間違いない。もちろん憧れているからという意見も出てくるかもしれないが、それは職種として見た場合には適切な回答とはいえないだろう。やはり音響を担当するとなったらコンサートホールの状態で演出も異なってくる。

そうした点も含めて考えていかなければならない点もあるため、奥深い100選だ。

どのようにして選ばれているのか

優良とは言っても、音響家視点から見たホールの良さとはどのようなところにあるのか、それは専門家でなければ分からないだろう。一般の人にすればもしかしたらそこら辺にある市民体育館と比べても大差はない、なんて考えている人もいるかもしれない。大雑把な部分もあるかもしれないが、優良ホールと言われるためには当然選定基準というものが用意されている。根源的に『優良ホール』と呼称されるホールとはどのようなものかというのも良く分からない。

100選を管理している日本音響家協会と日本劇場技術者連盟が認定しているのは『使いやすく・居心地の良い・創造意欲が湧く・良い仕事が出来るホール』というものがある。どうやら単純に音楽が最高に楽しめるだけではダメで、そこには使用する側として仕事を完璧にこなせる場所かどうか、というのも関係している。もう少し具体的に優良ホールとしての資格について見ると、このようになっている。

優良ホールの条件

  • 1:舞台設備が十分に維持管理されていて、うまく機能している。保守・修理・清掃などが十分に行われ、機材リストにある機器を常時使用できる状態にしてある
  • 2:運用スタッフが十分な技術力を持っている
  • 3:運用スタッフが高いモラルを持っており人格的に優れ、ホールで上演される芸能に関しても精通し、優良な上演が出来るよう外来スタッフに対して協力的である
  • 4:スタッフ間の十分な意思の疎通があり、円滑かつ安全に業務を行っている
  • 5:利用受付から上演・撤収まで、利用者に対する運用スタッフの応対が良好

条件を紹介したが、一見すると難しいことを話しているわけではないように見えるが、中々そうもいかないようだ。芸能を上映する際、やはり会場に勤務しているスタッフの能力が信頼できるものではないと音響家としても成功を託すには不安になるようだ。これはつまり、名の知れた有名なコンサートホールとして度々利用されるような所が必ずしも選ばれる、というわけではない。またこの条件を基準として現在までに第19次認定が行われているという、この100選自体が2000年から始まった点を考えると同じコンサートホールが必ず100選の一種として登録され続けるわけではない事を意味している。

過去認定されたが、条件が他のホールよりも劣っていると評価されてしまったがために100選から外れてしまったところもあるのかもしれない。ただ音楽が最高に演奏できるというだけでは選ばれない辺り、選定されたホールの良さは折り紙付きだとみなしていいだろう。

選定方法から見て

認定が取り消されてしまうと言ったが、それは単に他のホールが良さを上回ったという点だけに左右されない。コンサートホールを管理している指導者を始め、運用スタッフとして機能している人事が何らかの理由で異動や交代が発生したなどの内部における改革によっても認定取り消し候補となってしまうようだ。認定されれば確かに喜ばしいことなのかもしれないが、取り消されないようホールとしても後続の人的資源は良質でなくてはならないと考えるだろう。

内部での動き以前に何らかの問題が発覚した場合については、有無をいわさず認定取り消しになることは想像しなくても理解できるはず。1つだけはっきりしているのは、100選の中では信頼できるもの、というのは間違いない。