昔懐かしさを語る

遺産観光を楽しむ

建築物といっても種類が山ほど存在している、その中には一重にこれだと決めつけることが出来ないものもあるが、日本にはそんな建築物の中でも特に状態の良いものを観光産業として楽しめるように推し進めている物がある。一般的に『ヘリテージング』と呼ばれるもので、日本に現存している遺産の中でも特に状態が良い物を中心に定義した建築物の事を指している。ここで取り上げるのはそんなヘリテージングを楽しむ人々にオススメしたい百選としてテーマを取り上げた『ヘリテージング100選』と呼ばれる物がある。

こちらも日本全国を対象として遺産と称すべき建築物を観光業の一種として取り上げることで、文化・学術といった面はもちろんのこと、一般の人達にはどこか感傷深くなれる建築物が対象となっている。具体的に上げると校舎や劇場、鉱山に発電所、さらには灯台といったものまで対象となっているため、一概にこれがそうだと定義するほうが難しい。

ヘリテージングというものを楽しむ上で重要なのは『感傷』が一番のキーポイントとなっている、ただ綺麗だとか美しいといった外観や内観の優美さに見とれるだけでは表現できないもの。この産業にとって抱かなければならないのは『懐かしい・珍しい』といった思いを持つことも大事なのだ。先に上げた校舎などは差し当たって具体的な例と言えるだろう。こうして記述してみると、いつも行っている観光と対して変わらないではないか、などと思う人もいるでしょうが、それはそれ、これはこれの法則だったりする。ヘリテージングと言われるものの醍醐味は歴史を考えるだけではなく、時間というものにも触れているのです。

歴史観光と遺産観光の違い

通常、観光する上で一番のベストスポットとして挙げられるのは京都や奈良といった古代から日本文化の中心点として発達してきた町などを想像するはず。毎年秋口になれば日本全国、さらに世界各国から訪れる観光客も多く訪れるのは有名すぎる話だ。ただ日本でいうところのヘリテージングと呼ばれる遺産観光について言えるのは『歴史』だけを楽しむものではないのです。

先ほども話したが、ヘリテージングにとって一番大事なのは感傷、その中でも『懐かしい』と思えるものではなくてはならない。では京都・奈良にある金閣寺や銀閣寺、清水寺や伏見稲荷大社といった有名な観光名所を見て懐かしいと感じる人がいるだろうか。関係者や一度訪れた人などはともかくとして、初見の人はこうした建物を実際間近にして懐かしい、なんて感じることはまずないはず。伏見稲荷大社へ訪れた際、筆者も念願叶ってと言う部分はあったが見たかったと思うだけで、懐かしいといった感傷的な気分に浸ることはなかった。

これがいわゆる歴史的観光と遺産的観光の違いでもあるが、後者は他に対象となる建造物の特徴として『明治~昭和初期』に建築されたものが対象となっている。この時代の建物を懐かしいと感じる年代といえば、さすがに生きている人となると難しい年代かもしれないが、観光産業という側面からすれば昔はこんなだったよなと楽しめる側面で考えれば現代生まれの若者でも楽しみ方はありそうだ。

ヘリテージングの対象となっている建築物

このヘリテージングと呼ばれるものはただ明治から昭和初期にかけて建築された建物であれば全て対象、という甘い条件ではない。どのような条件かというと、産業的に観光として取り上げても問題無いと言える保存状態が良好のものでなければならないのだ。近代以降とはいっても、物によっては劣化の進行が急速に進んで老朽化が懸念されている建築物も存在している、といった点を考えると中々選定に難しそうだ。

地域産業という視点にも則ってヘリテージングを地元観光の目玉として推し出しているところもあるが、現在までに日本でヘリテージングを観光産業の主としておいている地域はそれほど見られないといってもいいだろう。定義するのが難しいという問題も関係しているのかもしれないが、観光名所と見た場合には近代以降の情緒あふれる価値観から高く評価されている遺産も存在しているという。

代表的なヘリテージング100選

ヘリテージングと呼ばれるものがどのようなものなのかは上記に説明した通りだが、もう少し具体的な建造物を取り上げてみる。東京都内では主に、

  • 東京駅を始めとした丸の内かいわい周辺の建築
  • 上野の杜かいわいから台東区までの建築

といったものが主にヘリテージングとなっている。東京駅と言われれば懐かしいと思う事もあれば、普段からよく使用するといった人もいるはず。毎日ではなくても、東京駅が東京の出入口だと思っていた人にすれば近代以降の遺産としても代表格だと断言してもいいのではないか。

現代建築にすれば過去建築となっているものでも、その中でも歴史的にそこまで歳月が流れていない建築物についてはヘリテージングと称するという。歴史的観光と遺産的観光との違いについては正直明確な線引をする必要はないかもしれないが、時代を引っ張ってきて考えればこうして区切るという楽しみも有りといえば有りなのかもしれない。